理想的な創作料理店 海猫屋
2013年 08月 01日
「支笏の秘水」をホルダーに放りこみ、首尾よく小樽へ向けて出発。
ところが途中定山渓でお蕎麦のはずが、連絡してみると本日定休。
ならば一刻も早く小樽へ乗り込みお昼にしよう。
1時間早くチェックインでき、身も軽くなって宿NORDのそばの海猫屋へ。
先をゆく夫 “残念! 2時までだよ…”
picori駆けつけ“ええ〜!?” (その時刻2:15)
店先のベンチ(たしか木製)に座っていらしたお髭をたくわえたおじさま “なに?昼飯探してるの? どんな店がいいの?”
picori “特にないんですけど、夜はお寿司と思っていて…”
しばしの無言ののち おじさま “入りゃあいいじゃん”
(私たち ???)
おじさま “店の前にいたおじさんがいいって言ったって言いなよ。あんま面倒なもん頼むんじゃねぇぞ^^”
わけもわからぬまま入り口の扉を押しレジのお兄さんに伝え、ありがたく2階の奥の席へ通していただく。
マティスの『ダンス』がレンガの赤にぴったりな空間。
あまり面鈍なもの頼むな、の言葉を思い出し、私は“雲丹のキッシュ”と自家製ジンジャーエール。
夫はよくよく煮込まれたカレーとコーヒーを。
“さっきのおじさん、オーナーじゃないの? 小樽をこんな街にした開拓者だったりして…”
給仕をしてくれた初々しいお嬢さんに伺うと、髭のおじさまはやはり海猫屋のオーナーでした!
すると下からトーントーンとのんびりさっきのおじさま。
広いお2階、少し声を張ってお礼を伝えました。
“今日は祭り。朝から呑んでんだよ”と、饒舌な藤竜也風情なおじさまがお向かいに腰掛け
●夫がいただいていたカレーライスは、もう40年作りつづけていること
●私がいただいていた雲丹のキッシュに添えられた魚は、ご自分が釣ってマリネにしたイワシだということ
●以前は味噌倉庫として使われていたこの建物に惚れ込み、26歳だったか27歳だったかの頃に買い取ったこと
●生粋の小樽っ子、そして奥さまは広島が先祖、と言って奥から呼んで紹介してくださった(フラメンコの手振りをされていた奥様の美しいことったら)
●お近くに本宅があるそうだけれど、オーナー自身はお正月だって海猫屋に生息されていること
とおしえてくださいました。
“晩はどこの寿司屋へ行くの?”と聞かれ、“運河沿いのどこか入れそうなお店へ行くことになりそう”だと告げると、そんなんじゃなくここ行きな、とお気に入りをおしえてくださいました。
わざわざ“海猫屋だけど7時に2名”と予約まで。
つくづく、いいご夫婦だなぁ、としばらく羨ましく眺めていました。
1階へ下りるとレジ向こうのキッチンが気になり、背伸びしてのぞき見。
まぁまぁまぁ!!
このキッチンならお正月も籠って美味しいもの作りに励むはず!!
向こうっかわに座って黄昏れていたMAKOTOさんに“すごいキッチンですねっ”と賛辞を贈ったときの、はにかんだ笑顔は忘れることができそうにありません。
15分遅く着いた幸運というのか、MAKOTOさんと奥さまに出会えたおかげで幸先いい旅のスタートが切れました。
上海にもどったらお礼の葉書きを出さなくちゃ。